電話の受け方の基本
電話での応対は、「明るく」「親切」「丁寧」が基本です。電話に出た声が暗くてボソボソしていると聞きづらく、 頼りなく感じたり不親切な印象を受けたりします。電話に出る時は、通常のトーンよりも少し高めの声が相手に聞きやすく届きます。 複式呼吸をして大きな声で元気よく出てください。また、話し中にメモを取れるように、 電話の右横にはいつもペンとメモを用意しておいてください。
3回以内に出る
電話が鳴ったら、3回以内に出ます。人は電話をかけた時、待ち時間が「11秒」を過ぎるとイライラしはじめるという調査報告があります。 11秒とは、ちょうど2コールを超えて3コールに入る時間。3回以上鳴ってから出る時は、 「大変お待たせしました。○○(社名)でございます」と受けましょう。 部や課の直通電話の場合は、「はい、○○(社名)○○部(課)でございます」と部署名まで言って出るのが正解。 もし所属部署を言わなければ、○○部(課)にかけてきた得意先や取引先の担当者は、 電話に出た人に「そちらは○○部(課)ですか?」と必ず確認しなければならなくなりますから。
相手が社名・氏名を名乗ったら
「いつもお世話になっております」と、たとえ初めての電話でも会社を代表して挨拶するのがマナーです。
■相手が名乗らない場合
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」または、「失礼でございますが、どちら様でいらっしゃいますか」と、
相手の名前を確認しましょう。
■聞き取れない場合
「申し訳ございません。お電話が少々遠いようでございます」または「申し訳ございません。お電話が少々遠いようですが……」
と、聞き取れないことを遠まわしに伝えます。
■社名のみで名前を名乗らない場合
「株式会社○○のどちら様でいらっしゃいますか」
■名前しか名乗らない場合
「恐れ入りますが、どちらの△△(名前)様でいらっしゃいますか」
取り次ぎは取り次ぐ相手の名前を確認
相手が「こちらこそお世話になっています。池田課長をお願いします」と名指ししたら、 「山田でございますね。かしこまりました」と、こちらの取り次ぐ相手の名前を確認し、 「少々お待ちくださいませ」と断ってから、電話機を「保留」状態にします。 社外の相手に対しては、上司でも役職や敬称は省いて「池田」と謙譲表現を使います。 役職名をつける場合には「課長の山口でございますね」と言います。
取り次ぐ相手にきちんと伝える
「池田課長、株式会社○○の△△様から×番にお電話が入っております」と、会社名と名前を正確に伝えます。
この時、池田課長が取り次いでも大丈夫かどうかを確認し、確実に取り次ぎます。
■取り次ぐ相手が電話中の場合
「ただいま、池田は他の電話に出ております。終わり次第こちらからお電話いたしますので、
お電話番号をお聞かせいただけますでしょうか」と、相手の電話番号を尋ねてください。
■取り次ぐ相手が外出している場合
「申し訳ございません。あいにく池田は外出しております。午後5時30分頃、帰社予定でございます。
戻りましたら、ご連絡いたしましょうか」
と、名指し人が電話に出られないことを、会社を代表して謝り、現在の状況を伝えます。
そのうえで、相手の意向(折り返し電話が必要か否か)を確認します。
「昼食に出かけている」という状況は外出のバリエーションなので、そのまま応用できます。
「申し訳ございません。あいにく池田はお昼に出ております。午後1時半には戻ると思います。
戻りましたら、ご連絡いたしましょうか(こちらからお電話を差し上げましょうか)」
■社内会議・接客中の場合
「申し訳ございません。あいにくただいま、会議中でございます。午後5時30分に終わる予定です。
会議が終わりましたら、ご連絡いたしましょうか」
と、会議中なので出られないことを伝えます。これが基本の応対です。
ただし、山田課長が「会議中でも電話は取り次ぐ」と告げていれば、会議中であることを相手に告げる必要はありません。
会議室に内線で連絡しましょう。
名指し人が接客中の場合は、訪ねてきているお客様が優先されます。緊急の場合以外は、
「申し訳ございません。あいにくただいま、来客中でございます。のちほどこちらからご連絡させていただきます」
と伝えましょう。緊急な用件の場合には、来訪者との会話を中断しないように、
タイミングを見計らって次のように取り次いでください。「お話し中、失礼いたします」と来訪者に断わりを入れ
、来訪者に伝言内容を知られないよう、メモに書いて手渡します。
■トイレに行っているなど席を外している場合
「ただ今、席を外しております」と告げ、「いかがいたしましょうか」「戻りましたら、ご連絡差し上げましょうか」
「のちほどこちらからおかけしましょうか」など、相手の様子に応じて応対します。ここでは、トイレに行っているとか、
給湯室に行っているといった詳細な情報は相手に伝える必要はありません。
ガイドもよく「すぐに戻ると思います」という返事を受けることがありますが、
「すぐ」や「ちょっと」という時間の感覚は人によって異なります。曖昧な言い方は避けて、
「5分程度で戻ります」というように、できるだけ具体的に答えましょう。
相手がとても急いでいるようなら「わたくし○○がご用件を承りましょうか」という応対も必要です。
この場合は、用件を聞き伝言メモを書きます。
■欠勤の場合
「あいにく、本日、山田は休んでおります。明日、出社しましたら、ご連絡いたしましょうか」
これが応対の基本の1つ。原則として、欠勤の理由を相手に伝える必要はありません。もう1つの基本は伝言です。
「あいにく、本日、山田は休んでおります。よろしければ、ご用件を承りますが……」と切り出す場合は、次の伝言メモを書きます。
これは「出張中の場合」も同じ。「あいにく、山田は出張中でございます。来週月曜日、13日に出社の予定でございます。
よろしければ、ご用件を承りますが……」
遅刻している場合は、相手に山田課長が遅刻していることを知らせる必要はありません。
前述した外出中と同じ対応で、「午前11時頃、帰社予定でございます……」と伝えましょう。
用件の聞き方・伝言メモの書き方
名指し人が外出している場合、あるいは欠勤や出張中の場合、こちらが「ご用件を承ります」と申し出、相手が
「それでは、お戻り後(出社後)、お電話くださるようお伝えください」「それでは、伝言を残してください」と言ったら、
伝言メモが必要。電話をかけてきた相手の社名、氏名、伝言の内容をメモし、連絡先を尋ねます。
「かしこまりました。恐れ入りますが、念のためお電話番号をお願いします」と尋ね、メモ用紙に書き込みます。
「03-XXXX-XXXXです」と相手が告げれば、
「ありがとうございます。それでは復唱します。03-XXXX-XXXX株式会社○○の△△様でいらっしゃいますね。池田が戻りましたら
(出社しましたら)確かに申し伝えます。わたくし、○○が承りました。お電話ありがとうございました」
と、伝言内容は必ず復唱しましょう。また、電話を受けた自分の名前を名乗ることで責任の所在を明らかにしましょう。
そうすることで信頼が得られ、相手は安心します。
■伝言メモのポイント
正確に聞き取り、用件は整理してメモしましょう。下記が確実に名指し人に伝わるメモをつくる際のポイントです。
@5W3Hでメモする
When、Who、Where、What、Whyの5Wに、How、いくら(How much)、どのくらい(How many)の3H加えた5W3Hでメモしましょう。
具体的には、電話を受けた日時、誰に、どこの誰から、相手の会社名、名前、電話を取った者の名前、相手の用件はどんなことで、
どのように応対したのか、といったことです。
A内容は必ず復唱する
ヒューマンエラー(言い間違い、聞き間違い)を避けるために復唱します。
B文章ではなく、箇条書きで要点がわかるようにする
ダラダラとして文章は、大切な要点を見落とす可能性もあります。要点を箇条書きにして見やすく、わかりやすくがポイントです。
Cメモがあることを口頭でも伝えることで確実性が増す
メモを書き終わり名指し人の机に置くまでではなく、その後口頭で確実に伝えるところまでが、あなたの仕事です。
Dメモの張り方は、会社のルールで
スケジュールボードの名前の横に磁石で留める、机の上にセロテープでとめておくなど会社のルールに則って行ってください。
名指し人が先方に連絡するまでは、あなたの責任だということを自覚してください。
なお、伝言メモを支給していない会社なら、使いやすいフォーマットのメモ用紙を使うか、
文具店には様々なタイプの伝言メモが販売されていますので、必要であれば購入してください。
■名指し人がなく、相手の用件が自分ではわからない場合
「誠に申し訳ございません。私ではわかりかねますので、ただいま、担当の者と代わります」と応対します。
具体的な問い合わせの場合は、「誠に申し訳ございません。私ではわかりかねますので、お調べして折り返しお電話いたします」と、
即答せずにワンクッション置きます。そして相手の名前、電話番号を尋ね、
いったん電話を切り上司と相談してこちらからかけ直すようにしましょう。